小規模保育所の職員配置基準を徹底解説|A型B型C型と年齢別人数

この記事では、定員19人以下という小規模ならではの配置基準を、年齢別の人数、A型B型C型の資格要件、2025年度改正の影響まで通しで整理します。
さらに、定員12人・19人での具体的な配置シミュレーションと、開業前のチェックリストも載せました。採用計画と人件費の見積もりにそのまま使える内容にしています。
書いているのは、認可園で15年主任を務めたあと、自分で小規模保育所を開業した田中麻衣です。申請で実際に役所とやり取りした経験をふまえて書きます。
小規模保育所の職員配置基準とは?まず押さえる結論

小規模保育事業は、原則0〜2歳児を対象とし、定員6〜19人で運営する認可事業です。職員配置基準はA型・B型・C型の3類型で異なります。
小規模保育所(定員19人以下)の定義
小規模保育事業は、地域型保育事業のひとつです。定員6〜19人という小さな規模で、0〜2歳児を預かるのが基本の形になります。
3歳になると原則卒園するため、連携施設(卒園後の受け皿となる認可園や認定こども園)の確保が認可の条件になります。ここは開業前に必ず詰めておく点です。
職員配置基準の全体像と「保育士+1名」ルール
小規模保育所の最大の特徴がこれです。年齢別の配置基準で計算した人数に、さらに1名を上乗せして配置する必要があります。
つまり、計算上「保育士2人で足りる」となっても、実際に置くのは3人。私が開業計算をしたとき、この+1を見落として人件費を低く見積もりかけました。ここは本当に注意してください。
認可保育園との配置基準の違い
認可保育園(定員20人以上)には、この+1ルールはありません。小規模だけの上乗せです。少人数で目が届きやすい一方、規模に対して職員の手厚さが求められる、と理解するとしっくりきます。
また認可園が0〜5歳を対象とするのに対し、小規模は0〜2歳が中心。年齢構成がまったく違うので、配置の考え方もシンプルになります。
【A型・B型・C型】小規模保育事業の配置基準と資格要件の違い
小規模保育所を考えるなら、まずどの類型でやるかを決める必要があります。資格者の割合がA型・B型・C型でまったく違うからです。採用の難易度も補助の額も、ここで変わります。

A型:全員が保育士資格者
A型は、配置する職員が全員保育士資格者であることが求められます。年齢別基準は、0歳児が3人につき保育士1人以上、1・2歳児が6人につき保育士1人以上です。
質の担保はしやすい反面、有資格者だけを集めるので採用は一番きついです。正直、地方では人が集まらずA型を断念してB型にする事業者を何件も見てきました。
B型:半数以上が保育士資格者
B型は、職員のうち保育士の割合が決められた要件を満たせばよく、一定の経過措置や要件のもとで保育士以外の職員も配置できます。0歳児は3人につき職員1人以上、1・2歳児は6人につき職員1人以上です。
保育士以外の職員には、自治体が定める研修の修了が条件になることが多いです。採用の幅は広がりますが、研修・育成のコストはかかると見ておいてください。
C型:家庭的保育者による少人数保育
C型は、家庭的保育者(保育ママに近い、研修を修了した保育の担い手)による保育です。0〜2歳児を対象に、家庭的保育者1人につき子ども3人までが基本になります。
補助者を付ければ5人まで見られる形が一般的です。家庭的な雰囲気が強み。ただ定員が小さい分、収支は厳しめになりやすいのが現実です。
3類型の比較早見表
| 項目 | A型 | B型 | C型 |
|---|---|---|---|
| 保育士資格 | 全員が保育士 | 半数以上が保育士 | 家庭的保育者 |
| 0歳児 | 3人に1人以上 | 3人に1人以上 | 家庭的保育者1人に3人まで |
| 1・2歳児 | 6人に1人以上 | 6人に1人以上 | 同上(補助者で5人まで) |
| 特徴 | 質を担保しやすい/採用は難 | 採用の幅が広い/研修が必要 | 家庭的な少人数/収支は厳しめ |
【年齢別】小規模保育所で必要な保育士の人数
小規模は0〜2歳が中心なので、覚える基準は実はシンプルです。0歳3:1、1歳6:1、2歳6:1。これに+1を足すのが小規模、と頭に入れてください。

0歳児(3:1)・1歳児(6:1)・2歳児(6:1)の基準
0歳児は3人につき1人。1歳児と2歳児はそれぞれ6人につき1人です。0歳の手厚さが際立つのがわかります。
定員別の配置人数の具体例
実際に計算してみます。年齢ごとに在園児を書き出し、基準で割って、端数は切り上げ、最後に+1。この順番です。
| 年齢構成 | 年齢別の計算 | 小計 | +1後の必要人数 |
|---|---|---|---|
| 0歳3人・1歳4人・2歳5人 | 0歳1+1歳1+2歳1 | 3人 | 4人 |
| 0歳2人・1歳6人・2歳4人 | 0歳1+1歳1+2歳1 | 3人 | 4人 |
| 0歳3人・1歳6人・2歳6人 | 0歳1+1歳1+2歳1 | 3人 | 4人 |
見てのとおり、定員が増えても基準上の小計は意外と動かない構成があります。だからこそ+1の有無で人件費の印象がガラッと変わるんです。
2025年度の配置基準改正が小規模保育所に与える影響
2024年度から、認可園を含む基準改善が進みました。3歳児は20人に1人から15人に1人へ、4・5歳児は30人に1人から25人に1人へ見直されています。
ただ、小規模は0〜2歳が中心なので、3歳以上の見直しの直接影響は小さいです。むしろ注目は1歳児。
1歳児の基準は6人に1人のままですが、5人に1人以上を実現する施設に加算が設けられました。小規模で1歳児を多く受けるなら、この加算を取りにいく配置が現実的な戦略になります。
保育士以外に必要な職員と管理者の配置要件

保育士の数だけ揃えても開園はできません。調理体制、管理者、そして開所時間に対応するシフト。ここを抜かすと申請で必ず止まります。
嘱託医・調理員などの配置基準
小規模保育所には嘱託医(園と契約する医師)と、給食を提供するための調理員が必要です。自園調理が原則のため、調理設備と調理担当の確保はセットで考えてください。
事務職員の扱いは自治体の要綱によります。福岡市の資料では、利用者3人以下かつ家庭的保育補助者を配置する場合は不要とされています。お住まいの自治体の要綱を必ず確認してください。
管理者・保育所長の要件
小規模保育所にも管理者(保育所長)を置きます。要件は自治体差がありますが、保育士資格や一定の実務経験を求める自治体が多いです。私の地域では現場経験が重視されました。
管理者が保育に入れるかどうかも配置計算に響きます。事務専任にするのか、保育兼務にするのか、ここは収支設計の分かれ目です。
早朝・延長保育に対応するシフトと実際の必要人数
配置基準は「その瞬間に何人いるか」で見られます。開所が朝7時〜夜7時の12時間なら、基準人数を1日中満たすにはシフトが必要です。
正直、ここが一番のお金のかかりどころ。基準上4人でも、12時間を回すには実人数で6〜7人を雇うことになります。常勤+パートの組み合わせで穴を埋めるのが現実的です。
配置人数のシミュレーションと開業前チェックリスト
ここからは実務です。定員12人と19人で、実際に何人雇うことになるかを試算します。私が自分の園を設計したときと同じやり方です。

定員12人・19人の人員配置の実例シミュレーション
| 定員 | 年齢構成の例 | 基準上の必要保育士 | 12時間シフトの実人数目安 |
|---|---|---|---|
| 12人 | 0歳3・1歳4・2歳5 | 4人 | 6人前後 |
| 19人 | 0歳3・1歳8・2歳8 | 5人 | 7〜8人前後 |
基準は4〜5人でも、実際に雇うのは6〜8人。この差が見積もりの命です。基準人数だけで人件費を組むと、開業後に必ず資金がショートします。
配置基準を満たす採用・人材確保の工夫
私が実際にやって効いたのは、開園の半年前から保育士の声かけを始めたこと。求人を出してから探すのでは遅いです。
B型でスタートして資格者を育てながらA型を目指す、という段階的な進め方も現実的です。常勤1〜2人を軸に、短時間パートで朝夕を埋める構成にすると、人件費を抑えつつ基準を割らずに回せます。
開業希望者向け実務チェックリスト
| 項目 | 確認内容 |
|---|---|
| 類型の決定 | A型・B型・C型のどれで申請するか |
| 連携施設 | 3歳児以降の受け皿を確保したか |
| 配置計算 | 年齢別基準+1名で算出したか |
| シフト人数 | 開所時間を実人数で回せるか |
| 保育士以外 | 嘱託医・調理員・管理者を確保したか |
| 自治体要綱 | 上乗せ基準・事務職員要件を確認したか |
配置基準と補助金・公定価格、自治体の上乗せ基準
配置を厚くすればするほど人件費は増えます。でもそれを支えるのが公定価格と加算です。配置と補助はセットで考えないと、収支の絵が描けません。

公定価格・加算と配置の関係
小規模保育所の収入の柱は、利用人数に応じて支払われる公定価格です。さらに前述の1歳児の手厚い配置のように、基準より上の配置で加算が付く仕組みがあります。
つまり+1で増えた人件費を、加算でどこまで取り戻せるか。この計算をせずに「人件費が高い」と嘆くのは早計です。
自治体ごとの独自上乗せ基準の違い
国の配置基準はあくまで最低基準です。自治体によっては独自に上乗せ基準や補助を設けています。
同じ定員でも、隣の市では補助が手厚い、ということが普通に起こります。物件を決める前に、候補地の自治体要綱を比べておくべきです。私はここを比較せずに決めて、あとで後悔しました。
保育の質と配置基準の関係を示すデータ
小規模の強みは、0〜2歳という最も手のかかる時期に、少人数で目が届くこと。+1の配置は負担に見えて、子ども一人あたりの大人の数を増やし、質の土台になります。
国の資料でも、配置はあくまで最低基準と位置づけられています。基準を満たすだけでなく、自園にとって無理のない手厚さをどこに置くか。ここが経営者の腕の見せどころです。
配置基準を満たさないとどうなる?指導から認可取り消しまで

配置割れは、想像以上に重く扱われます。いきなり取り消しではありませんが、放置すると段階的に厳しくなります。3段階で押さえてください。
段階①指導監査
まず自治体の指導監査が入り、配置の不足を指摘されます。書類と現場の実態の両方を見られます。ここで素直に是正計画を出せば、たいていは立て直せます。
段階②改善勧告
指摘しても改善されない場合、改善勧告に進みます。期限を切って是正を求められる段階です。ここまで来ると、補助の調整が入ることもあります。
段階③認可の取り消し・事業停止命令
それでも改善されなければ、認可の取り消しや事業停止命令という最も重い措置になります。最低基準である配置を割り続ける運営は、認可事業として続けられない、ということです。
だからこそ、開業前のシフト設計が効いてきます。1人欠けても基準を割らない余裕を持った人員計画を、最初に組んでおいてください。
小規模保育所の職員配置基準に関するよくある質問
開業相談でよく受ける質問を、一次情報にもとづいてまとめます。

よくある質問
最後に一言だけ。小規模保育所で一番つまずくのは、立派な理念ではなく『+1とシフトの人数』という地味な計算です。ここを開業前に詰め切れた人から、無理なく続けられています。まずは自分の想定定員で、この記事の表どおりに人数を書き出してみてください。
