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保育園経営の基本・全体像

保育園経営の始め方と費用・成功のポイントを徹底解説

田中 麻衣 / 更新:2026-06-24
保育園経営の始め方と費用・成功のポイントを徹底解説
保育園経営に興味はあるけれど、「資格がいるの?」「いくらかかるの?」「赤字にならない?」という不安で一歩踏み出せない。そんな方へ、結論から言います。経営者本人に保育士資格は不要で、形態を選べば小規模からでも始められます。

ただし、安易に始めると定員割れや人材不足で一気に苦しくなる。これは私自身が小規模保育所を開いて痛感したことです。

この記事では、保育園の仕組み・費用・収支の目安・補助金・参入方法の比較、そして現場で起きた失敗例までまとめました。読み終えるころには、自分が参入できる世界かどうか判断できるはずです。

書いているのは私、田中麻衣。認可保育園で15年主任を務めた後、自分で小規模保育所を開業しました。申請も資金繰りも物件探しも、全部つまずきながらやってきた人間です。

保育園経営とは?仕組みと参入のメリット・デメリット

【保育トーク】ビジネスとしての保育園経営は実際儲かるのか!?
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保育園は「児童福祉法」に基づく児童福祉施設です。開設や運営の許可・監督は各市区町村が行います。

保育園経営の基本的な仕組み

認可保育園の主な収入源は、保護者からの保育料ではありません。市区町村から支払われる「施設型給付」、つまり委託費です。

この給付額は国が決めた「公定価格」で算定されます。園児を集めて月謝で稼ぐビジネスとは、お金の流れが根本から違うのです。

私立認可保育園の費用負担は、国が1/2、自治体が1/4を持ち、事業者負担は1/4に抑えられます。公費で支えられている事業だ、という前提をまず押さえてください。

保育園を経営するメリット

一番は、公費による収入の安定性です。認可なら施設型給付があるため、月謝ビジネスのように毎月の集客に売上が直結しません。

社会貢献性も高い。地域の子育てを支える仕事に、誇りを持てます。これは綺麗事ではなく、現場にいた20年で何度も実感しました。

保育園経営のリスク・デメリット

正直に言うと、リスクの比重はメリットより大きいと私は考えています。

保育園経営の主要課題は「人材確保」「教育」「コスト」の3つです。なかでも保育士の離職要因の一つが業務量の多さで、人が辞めると一気に運営が回らなくなります。

さらに事故・感染症・保護者トラブルといった「絶対に外せない責任」が常に肩にかかる。気軽な独立とは違う、という覚悟は必要です。

保育園の主な形態とサービス内容の違い

参入を考えるなら、まず形態の違いを正確に知ることが土台になります。保育園は大きく「認可」と「認可外」に分かれ、認可外でも自治体への届け出は必要です。

保育園の主な形態とサービス内容の違い
保育園の主な形態の比較
形態基準主な収入源特徴
認可保育園国の基準をクリア施設型給付(公定価格)公費支援が手厚いが基準が厳しい
認可外保育園都道府県基準・要届け出保育料中心自由度は高いが公費支援は限定的
企業主導型保育内閣府の助成制度助成金+利用料2016年開始。利用料が年齢別に減額される

認可保育園

国が定めた設備・人員の基準を満たし、自治体の認可を受けた園です。施設型給付という安定収入がある反面、設置基準も申請のハードルも高い。

2019年10月1日からは、3〜5歳の認定こども園・幼稚園・保育所の利用料が無償化されました。保護者にとって認可の価値が一段と上がった転換点です。

認可外保育園

都道府県の基準で運営する園です。例えば東京都の認証保育園は、知事の許可で運営されます。

小回りが利く一方、収入は保育料が中心になりがちで、集客力がそのまま経営を左右します。

小規模保育・企業主導型など

私が選んだのは小規模保育でした。定員が少なく、初期投資も抑えやすいのが理由です。

企業主導型保育は、利用料から年齢に応じた一定額が減額される仕組みです。助成も受けられるため、企業の福利厚生と組み合わせて始める人もいます。

保育園経営に必要な資格・知識・手続き

よく聞かれるのが「経営者に保育士資格はいるのか」。答えはノーです。経営者自身に資格は不要で、現場に有資格の保育士を配置すれば成立します。

保育園経営に必要な資格・知識・手続き

ただし、無資格で丸腰のまま始めるのは勧めません。知っておくべき知識があります。

経営者に資格は不要だが知っておくべき知識

最低限おさえるのは、児童福祉法と子ども・子育て支援法です。前者は保育園の根拠法、後者は保育の質を守る制度や助成金の根拠になっています。

加えて、保育士の採用・労務、集客、お金の管理。この4本柱を知らないと現場は回りません。経営や保育の知識がない人は、開業前にコンサルタントを使うのも現実的な一手です。

開業に必要な手続きと設置基準

開設・運営の許可は市区町村が握っています。だから手続きは「自治体ありき」で進みます。

認可なら、設備・面積・職員配置などの設置基準を満たし、自治体の審査を通す必要があります。認可外でも届け出は必須です。

認可保育園の自治体ごとの選考・申請の流れ

ここは競合記事が薄い部分なので、私の経験から具体的に書きます。認可は「申請すれば通る」ものではありません。自治体ごとに公募があり、選考に通って初めて設置できます。

流れはおおむね、事前相談 → 公募への応募 → 事業計画・収支計画の提出 → 審査・面接 → 内定 → 工事・開所、という順です。

特に注意したいのが期限。補助金の交付条件として、工事完了は補助年度の3月31日まで、開所日は4月1日厳守というケースがあります。スケジュールがずれると補助そのものを落とすので、逆算が命です。

保育園経営にかかる費用と収支シミュレーション

【保育園関連】保育園経営って儲かるの?
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一番気になるお金の話です。結論、認可は公費支援で収入が安定しますが、初期費用と運営資金の構造を理解しないと判断を誤ります。

開業に必要な初期費用

主な初期費用は、物件取得・内装工事・保育設備・備品・人件費の先払い分です。具体額は地域・規模・物件状態で大きく変わるため、確かな全国平均を私は示しません。

代わりに言えるのは、物件と工事で予算は大きく動くということ。中古でそのまま使える物件か、改装が必要かで、桁が変わる体感でした。

毎月かかる運営資金

毎月出ていくのは、人件費・家賃・給食費・光熱費・保険料です。保育は人で成り立つ事業なので、コストの中心は人件費になります。

裏を返せば、人件費を削れば質が落ち、質が落ちれば園児が集まらず、収入が減る。この連鎖が怖い。だから人件費は「削る対象」ではなく「守る投資」と捉えるべきです。

定員別の損益分岐点と収入の目安

認可の収入は、施設型給付の公定価格で決まります。助成額は「基本単価」(1カ月の保育に必要な金額)と、休日保育や療育支援などの「各種加算」の合計で算定されます。

つまり収入は「園児の年齢構成 × 人数」で動きます。0〜1歳児は単価が高い分、職員配置も手厚く求められる。定員が埋まるかどうかが、そのまま損益分岐に直結します。

正直に言うと、定員割れの怖さはここに尽きます。給付は在籍した子どもの分しか入らない。空き枠は売上ゼロのまま固定費だけがかかる、と覚えてください。

補助金・助成金の種類と申請のコツ

補助金は大きく「整備費」と「運営費」に分かれます。対象は認可保育園・企業型保育所・院内保育所です。

補助金の区分と決定要素
項目内容
主な区分整備費・運営費
対象施設認可保育園/企業型保育所/院内保育所
決定要素児童の年齢・人数、定員数、職員の平均勤続年数など
地域差公立は運営費のほぼ全額が補助。認可の補助対象は自治体で大きく異なる

申請のコツは、職員の勤続年数が補助額に効くこと。長く働いてもらう体制を作ることが、定着だけでなく補助金の面でも得になります。

負担割合も知っておくと有利です。「新子ども・子育て安心プラン」採択自治体で条件を満たすと、国2/3・自治体1/12・事業者1/4へと、事業者に有利な方向で変わるケースがあります。

保育園経営の始め方と参入方法の比較

始め方は大きく3つ。ゼロからの新規開業、フランチャイズ加盟、既存園の買収・承継です。どれが合うかは、あなたの資金・経験・かけられる時間で決まります。

保育園経営の始め方と参入方法の比較
参入方法の比較
方法向いている人強み弱み
新規開業自分の理念で作りたい人自由度が高い手続き・集客をゼロから背負う
フランチャイズノウハウを借りたい人運営支援を受けられる加盟料・ロイヤリティの負担
買収・承継早く軌道に乗せたい人園児・職員を引き継げる譲渡価格・人間関係の引き継ぎリスク

ゼロから新規開業する方法

私が選んだ道です。理念どおりの園を作れる反面、自治体相談から申請、物件、採用、集客まで全部自分でやります。

運営の形には直営と委託があり、どこまで自分で抱えるかで負担が変わります。最初は背伸びせず小規模から、というのが私の実感です。

フランチャイズ加盟で始める方法

運営ノウハウや採用支援を借りられるのが利点です。初めての人ほど、申請や仕組みづくりの失敗を減らせます。

ただし加盟料とロイヤリティが利益を圧迫します。公費支援が前提の事業で、そこから本部費用を払う構造は事前に試算しておくべきです。

既存園の買収・事業承継で始める方法

競合があまり触れない選択肢です。すでに園児と職員がいる園を引き継げば、定員割れリスクと採用リスクを一気に下げられます。

一方で、譲渡価格の妥当性、既存職員との人間関係、前経営者時代の評判はそのまま引き継ぎます。数字だけでなく、現場の空気を見てから決めること。

保育園経営を成功させるためのポイント

課題は「人材確保」「教育」「コスト」の3つに集約されます。ここを押さえられるかで、続くか潰れるかが分かれます。

保育園経営を成功させるためのポイント

保育士の採用と離職を防ぐ定着策

離職要因の一つは業務量の多さ。だから「採る」より「辞めさせない」が先です。

現実的な手として、保育補助の積極採用で正規保育士の負担を分散する、パートや変動労働時間制で繁閑に合わせる、といった配置の工夫があります。勤続年数は補助額にも効くので、定着は経営にも直結します。

園児を集める集客戦略

認可は自治体の利用調整が入りますが、それでも知名度がないと選ばれません。私が効いたと感じたのは、地域とのつながりと口コミです。

ホームページで保育の様子を正直に出す、見学を丁寧に受ける、自治体の窓口や子育てイベントに顔を出す。派手なことより、地味な信頼の積み重ねが定員を埋めます。

保護者対応・安全管理のリスク対策

事故・感染症・クレームは「起きる前提」で備えます。賠償責任保険への加入は最低ラインです。

クレームは初動が9割。隠さず、早く、記録を残して対応する。これを徹底するだけでトラブルの多くは小さく収まります。

ICT化による業務効率化

連絡帳・登降園管理・シフトを手書きで回すのは、もう限界があります。保育業務支援システムを入れると、保育士が子どもに向き合う時間が増えます。

業務量が減れば離職も減る。ICT化はコスト削減と定着の両方に効く、数少ない一石二鳥の投資です。

【独自】現場で起きた失敗例と回避のヒント

【ひろゆき切り抜き】保育園経営をしたい相談者に現実を突きつける
【ひろゆき切り抜き】保育園経営をしたい相談者に現実を突きつける

ここは私が見てきた、教科書に載らない話です。きれいごと抜きで2つだけ共有します。

定員割れで赤字に陥ったケース

周辺の子ども人口を甘く見て、定員を大きく設定した園がありました。結果、空き枠が埋まらず固定費だけがのしかかった。

給付は在籍児の分しか入りません。開業前に、立地の子ども数と競合園の空き状況を地に足をつけて調べること。これを怠ると、想定の収入は最初から幻になります。

人材不足で運営が回らなくなったケース

開業時に無理な配置で回し、数か月でベテランが辞めた園を知っています。1人抜けただけで配置基準が崩れ、受け入れ人数を絞らざるを得なくなりました。

採用は「開業に間に合えばいい」ではなく、辞めても回る余白を持って組む。人を守る投資を後回しにすると、回収のきかない損失になります。

保育園経営に関するよくある質問

最後に、相談でよく受ける3つに短く答えます。

保育園経営に関するよくある質問

よくある質問

保育園経営とは?
児童福祉法に基づく児童福祉施設を運営する事業です。認可なら市区町村からの施設型給付が主な収入源で、開設・運営の許可と監督は各自治体が行います。月謝ビジネスとはお金の流れが異なり、公費に支えられる点が特徴です。
保育園経営の費用は?
初期費用は物件取得・内装工事・保育設備・備品などで、地域や規模、物件の状態で大きく変わります。運営費は人件費が中心です。認可なら国1/2・自治体1/4で事業者負担は1/4に抑えられ、整備費・運営費の補助金も活用できます。確かな全国平均の数値は条件差が大きいため、自治体の制度を個別に確認してください。
保育園経営の始め方は?
新規開業・フランチャイズ加盟・既存園の買収/承継の3つが基本です。認可を目指すなら、自治体への事前相談から公募応募、事業計画提出、審査を経て開所へ進みます。工事完了3月31日・開所4月1日など補助金の期限があるため、逆算したスケジュール管理が欠かせません。

最初の一歩は、開業したい地域の自治体窓口に相談予約を入れること。資料集めより、担当者と話すほうが10倍速く現実が見えます。私もそこから始めました。

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田中 麻衣

小規模保育所 元経営者・現コンサルタント ・ 保育士資格・幼稚園教諭一種免許取得

元認可保育園の主任保育士として15年間勤務した後、自身で小規模保育所を開業した経験を持つ。実際の認可申請・資金調達・物件選びで直面したリアルな壁を一次情報として届けることを大切にしている。

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