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保育園経営の基本・全体像

小規模認可保育園とは?開設の流れ・費用・メリットを徹底解説

田中 麻衣 / 更新:2026-06-24
小規模認可保育園とは?開設の流れ・費用・メリットを徹底解説
小規模認可保育園の開業を考えると、「定員が少なくて採算は取れるのか」「自治体の選考に通るのか」と不安が先に立ちますよね。結論を先に言うと、補助金を前提にすれば運営は成り立ちますが、3歳児以降の連携施設確保と園児集めという二つの壁を甘く見ると詰みます。

私は認可保育園で15年主任を務めた後、自分で小規模保育所を立ち上げました。申請書類で何度も差し戻され、物件契約の直前で面積要件に引っかかって慌てた経験もあります。

この記事では、制度の基本から種類と設置基準、開設の流れと費用、そして競合記事があまり書かない「失敗しやすいポイント」までを、私の実体験を交えて整理します。

小規模認可保育園とは?まずは基本を理解する

保育『ここだけ』のはなし( 小規模保育園のメリットデメリット )
保育『ここだけ』のはなし( 小規模保育園のメリットデメリット )

まず制度上の位置づけから。小規模認可保育園は、児童福祉法と子ども・子育て支援新制度に基づく市町村認可の「地域型保育事業」の一つです。

平成27年4月(2015年4月)の新制度スタートとともに位置づけられました。歴史としては、まだ10年ほどの比較的新しい制度です。

小規模認可保育園の定義と特徴

定員は6〜19人、対象は原則0〜2歳児。これが小規模認可保育園の最大の特徴です。

少人数だからこそ、子ども一人ひとりの発達やその日の体調まで目が届きます。私が現場にいて一番ありがたかったのは、保護者の名前と背景まで全部頭に入る規模だったことです。

認可保育所・認可外との違い

認可保育所は0〜5歳まで預かり、定員も数十人規模が中心。小規模認可は0〜2歳に絞られ、地域型保育給付の対象になります。認可外は自治体の認可を受けず、補助の仕組みも別建てです。

認可保育所・小規模認可・認可外の違い
項目認可保育所小規模認可保育園認可外保育施設
認可市町村が認可市町村が認可(地域型)認可なし
対象年齢0〜5歳原則0〜2歳施設による
定員数十人規模が中心6〜19人施設による
給付・補助施設型給付地域型保育給付施設により別建て

対象年齢・定員・保育料の基本

保育料は、認可保育所と同じく自治体が定める利用者負担額で決まります。世帯の市町村民税額など、所得階層に応じた金額です。

無償化との関係も押さえておきたいところ。無償化の対象は3〜5歳児と、住民税非課税世帯の0〜2歳児です。小規模は0〜2歳が中心なので、無償化が効くのは主に住民税非課税世帯の0〜2歳児に限られます。

小規模認可保育園の種類と設置基準

小規模認可保育園にはA型・B型・C型の3種類があります。違いは、保育に当たる人の資格要件と定員幅です。開業時にどの型を選ぶかで、人材確保のハードルが変わります。

小規模認可保育園の種類と設置基準

A型の基準と特徴

A型は職員全員が保育士資格を持つ型です。認可保育所に最も近い体制で、保育の質を担保しやすいのが利点。

正直、私はA型で始めることを勧めます。後述の指導検査でも、有資格者中心の体制は説明がしやすいからです。

B型の基準と特徴

B型は職員の半数以上が保育士資格を持つ型。残りは研修を受けた保育従事者で補えます。

保育士不足の地域では、B型が現実的な選択になることが多いです。ただし無資格スタッフへの教育に手間がかかる点は覚悟が要ります。

C型の基準と特徴

C型は家庭的保育に近い形で、定員は6〜10人と小さめ。家庭的保育者が中心になります。

少人数で家庭的な雰囲気を出せる反面、定員上限が低いので収益は最も厳しくなります。

保育士の人員配置基準

横浜市の案内では、0歳児3人につき1人、1〜2歳児6人につき1人に、さらに1人を加えた数の保育従事者を配置するとされています。

この「プラス1人」が地味に効きます。認可保育所より手厚い配置になるぶん、人件費は重くなる、と頭に入れておいてください。

小規模認可保育園を開設するメリット

少人数定員ゆえの弱みばかり語られがちですが、開業のしやすさという点では認可保育所より明確に有利です。ここでは実利の大きい順に並べます。

小規模認可保育園を開設するメリット

補助金・助成金を受給できる

小規模認可は地域型保育給付の対象です。在籍する子どもの数や年齢に応じた公費が、運営の柱になります。

逆に言えば、この給付なしでは経営が成り立たない構造。だからこそ自治体の認可を取り切ることが何より大事です。

認可保育園より短期間で開業できる

園舎の規模が小さいぶん、物件確保から開園までのスパンが短く済みます。賃貸物件を改修して始めるケースが多く、テナント1区画でも要件を満たせます。

運転資金の融資を受けやすい

認可事業で公費が継続的に入る見込みがあるため、金融機関に対して収支の説明がしやすい。私が日本政策金融公庫に相談したときも、給付の仕組みを示すと話が早かったです。

きめ細やかな保育を実施できる

19人以下という規模は、保育の質の面では強みです。一人ひとりのその日のコンディションに合わせた対応ができる。これは大規模園では真似しにくい価値です。

見落としがちなデメリットと運営リスク

【耳で聞く】認可外保育園とは|料金や無償化制度との関わり【ままのて人気記事】
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ここが本題だと思っています。メリットとデメリットを同じ数並べるつもりはありません。実際、開業前にちゃんと潰しておくべきリスクの方が重いからです。

定員上限による収益性の課題

定員が最大19人。これは売上の天井が制度で決まっているということです。満員でも入ってくる給付額には上限がある。

つまり「稼働率を上げて利益を伸ばす」発想に限界があります。だからこそ、後述する損益分岐点の見極めが命綱になります。

3歳以降の連携施設確保の難しさ

小規模認可は原則0〜2歳。多くの場合、3歳児以降は連携施設へ移行する仕組みです。この連携施設の確保が、本当に難しい。

「卒園後、うちの子はどこに通えるの?」という保護者の不安に答えられないと、そもそも入園が集まりません。近隣の認可保育所や認定こども園と、開業前から関係を作っておく必要があります。

園児が集まらないリスクと地域ニーズ調査

0〜2歳に絞られるぶん、対象家庭の母数が限られます。立地を間違えると、定員が埋まらないまま固定費だけが出ていく。

私が事前にやったのは、自治体の待機児童データを年齢別に確認し、0〜2歳の待機がどの地域に偏っているかを調べることでした。役所の子育て支援課で年齢別・地域別の数字は教えてもらえます。

保育士の採用と人材確保の課題

配置基準が手厚いぶん、少人数でも必要な保育士数は意外と多い。そして開業直後の無名の園に、有資格者は簡単には来てくれません。

私は前職のつながりで2人に声をかけ、開園メンバーを固めました。採用を求人サイト頼みにせず、人のつながりを先に押さえる。これが一番効きました。

開業にかかる費用と収益モデルを試算する

具体的な金額の相場は地域や物件で大きく振れるため、確定した全国数値として断言できるものはありません。ここでは構造の考え方を示します。数字の根拠は必ず自分の地域の見積もりで埋めてください。

開業にかかる費用と収益モデルを試算する

初期費用と運営コストの目安

初期費用の中身は、物件取得(敷金・礼金)、内装改修、保育備品、人件費の先払い分です。賃貸テナントを改修するか、自社物件を使うかで桁が変わります。

運営コストでもっとも重いのは人件費。配置基準のプラス1人が効くので、売上の半分以上が人件費という前提で組むのが安全です。

補助金を前提とした収益構造

小規模認可の売上は、保育料(自治体の利用者負担額)と地域型保育給付が中心です。保護者から集める保育料は自治体基準で決まるため、園が自由に値上げできるものではありません。

だから収益は「在籍児の数×年齢別の公費」でほぼ決まります。経営の自由度が低い代わりに、満員に近ければ収入が読みやすい構造です。

損益分岐点の考え方

定員上限が固定なので、損益分岐点は「あと何人入れば固定費を回収できるか」で考えます。逆算すると、開園後の早い段階で稼働率を一定以上に持っていけるかが勝負。

私の感覚では、定員に対する空きが続く期間が長引くほど資金が削れます。半年で埋め切る計画を立て、それより遅れる前提の資金も用意しておくのが現実的です。

開設までの流れと選考通過のポイント

小規模認可は、自治体が事業者を公募して選ぶ形が一般的です。つまり「申請すれば開ける」のではなく「選ばれないと開けない」。ここを最初に理解しておいてください。

開設までの流れと選考通過のポイント

自治体の募集要項の確認

最初の一歩は、開業したい市町村の募集要項を読み込むこと。募集時期、対象エリア、求める定員、連携施設の要件まで、自治体ごとに条件が違います。

私の地域では、待機児童が多い特定エリアに限って募集がかかりました。要項を読まずに物件を探すと、対象外エリアで時間を無駄にします。

提出書類と開設スケジュール

入園手続きの考え方として、利用者は市町村へ申込みをします。事業者側はその前段で、認可申請の書類一式を整える必要があります。

事業計画書、収支計画、物件の図面、職員の配置計画、連携施設の確保状況などをまとめます。書類は差し戻しが前提と思って、締切から逆算して2〜3か月の余裕を見てください。

選考基準と事業計画書の書き方

選考で見られるのは、保育の質を保てる体制か、収支が現実的か、地域の保育ニーズに合っているか。この3点に尽きます。

事業計画書では、年齢別の待機児童データを根拠に「なぜこの場所で、この定員なのか」を数字で語ること。願望ではなく根拠で書くと、審査の通りが変わります。

物件選び・立地条件の選定ポイント

物件は面積要件と立地で決まります。0〜2歳児の保育室面積、調理設備、避難経路。私は契約直前に面積が足りないと判明し、別物件に切り替えました。

立地は「0〜2歳の待機が多い住宅エリア」かつ「連携施設にしたい園が近い」場所が理想です。駅前の賃料が高い区画より、生活圏の中が向いています。

開業後の運営と保育の質を守る仕組み

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開園はゴールではなくスタート。全国の小規模認可保育所は2022年10月時点で5,895施設という記載があり、競合も増えています。選ばれ続ける運営が必要です。

集客と稼働率の維持

小規模は口コミで決まります。0〜2歳の保護者は地域のコミュニティが濃く、評判があっという間に回る。最初の在園児の満足度が、翌年の入園を左右します。

保護者対応のポイント

連携施設、つまり卒園後の進路を最初の面談で明確に伝えること。ここが曖昧だと不信につながります。私は入園説明の段階で連携先の一覧を渡していました。

監査・指導検査への対応

認可事業である以上、自治体の指導検査が入ります。配置基準どおりに人を置けているか、書類が揃っているかが見られます。

検査直前に慌てないコツは、出勤簿と保育日誌を毎日きちんと残すこと。日々の記録が、そのまま検査対策になります。

よくある質問(FAQ)

よくある質問

小規模認可保育園とは何ですか?
児童福祉法と子ども・子育て支援新制度に基づく市町村認可の地域型保育事業で、定員6〜19人、原則0〜2歳児を対象とする保育施設です。地域型保育給付の対象になります。
開設の費用はどのくらいかかりますか?
物件取得・内装改修・保育備品・開園前の人件費が主な内訳ですが、賃貸か自社物件か、地域や面積によって大きく変わるため、確定した全国相場として断言できる数値はありません。必ず自分の地域で見積もりを取り、人件費が売上の半分以上になる前提で資金計画を組んでください。
開業の始め方を教えてください。
開業したい市町村の募集要項を確認することから始めます。対象エリアや定員、連携施設の要件を確かめ、事業計画書・収支計画・物件図面・職員配置計画などを揃えて認可申請します。自治体の選考に通って初めて開園できる仕組みです。

最後に率直な一言を。小規模認可は「補助金前提・定員天井あり・連携施設が肝」という制約の中で、保育の質で選ばれる事業です。まずは自分の地域の募集要項と年齢別待機児童データを取りに行く。そこから全部が始まります。

よくある質問(FAQ)
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田中 麻衣

小規模保育所 元経営者・現コンサルタント ・ 保育士資格・幼稚園教諭一種免許取得

元認可保育園の主任保育士として15年間勤務した後、自身で小規模保育所を開業した経験を持つ。実際の認可申請・資金調達・物件選びで直面したリアルな壁を一次情報として届けることを大切にしている。

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