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保育園経営の基本・全体像

保育園の経営とは?始め方・費用・収支から成功のコツまで徹底解説

田中 麻衣 / 更新:2026-06-24
保育園の経営とは?始め方・費用・収支から成功のコツまで徹底解説
保育園の経営に興味はあるけれど、「資格がないと無理では?」「少子化で園児が集まらず潰れたら…」と不安で踏み出せない方は多いはず。結論から言うと、経営者自身に保育士資格は不要で、形態を選べば数百万円台から始められます。私は元主任保育士から小規模保育所を開業し、認可申請も資金調達も全部自分でやりました。その実体験をもとに、始め方・費用・収支・失敗の回避策まで正直に書きます。
  • 保育園の経営者本人に保育士資格は不要で、配置する保育士が有資格者であればよい。
  • 保育園には認可・認可外・企業主導型など複数の形態があり、補助金の手厚さと開業ハードルが大きく異なる。
  • 小規模保育所なら初期費用を抑えやすく、認可なら運営費の多くを公費(委託費)でまかなえる。
  • 最大のリスクは保育事故と定員割れで、ここを軽視すると黒字でも一発で廃業に追い込まれる。
  • M&Aやフランチャイズなら、ゼロから作るより早く・安全に参入できる場合がある。

保育園の経営とは?仕組みと特徴をやさしく解説

【ひろゆき切り抜き】保育園経営をしたい相談者に現実を突きつける
【ひろゆき切り抜き】保育園経営をしたい相談者に現実を突きつける

保育園の経営とは、保護者から預かった乳幼児を保育士が保育し、その対価(保育料や公費)で園を運営する事業のことです。

普通の商売と違うのは、収入の出どころ。認可保育園では保護者が払う保育料は収入の一部にすぎず、大部分は国や自治体から支払われる「委託費(運営費)」で成り立ちます。

だから「景気が悪いと客が減る」タイプの事業とは少し性質が違います。一方で、定員に対して何人在籍しているか(充足率)が収入をほぼ決めるので、園児が集まらない月が続くと一気に苦しくなります。

保育園経営の基本的な仕組み

収入は「公費(委託費・補助金)+保護者負担」、支出の最大項目は「人件費」です。

私の小規模園の感覚で言うと、支出の7割前後が人件費でした。保育は人がすべての労働集約型ビジネスなので、人を雇えば雇うほどコストが膨らむ。ここを理解せずに「利益率が高いらしい」と聞いて始めると、現実とのギャップに驚きます。

認可保育園・認可外・幼稚園など主な形態の違い

形態は大きく分けて、国の基準を満たした「認可」、満たさない(または独自運営の)「認可外」、3歳以上を教育する「幼稚園」の3つです。

ざっくり言えば、認可は公費が手厚いぶん基準と手続きが厳しく、認可外は自由度が高いぶん収入が保護者負担に偏ります。

主な保育施設の形態比較
形態対象年齢主な収入源開業のハードル
認可保育園0〜5歳委託費(公費)+保育料高い(自治体の認可が必要)
認可外保育施設0〜5歳保護者負担が中心比較的低い(届出制)
幼稚園3〜5歳公費+保育料高い(学校法人が原則)
認定こども園0〜5歳公費+保育料高い

企業主導型・事業所内保育所など多様な運営形態

認可と認可外の中間に位置するのが、企業主導型保育事業と事業所内保育所です。

企業主導型は、認可外でありながら認可並みの助成を受けられる仕組み。内閣府の管轄で、地域の子どもも受け入れる「地域枠」を設けられます。

事業所内保育所は、従業員の子どもを預かるために会社が設ける形。採用や離職防止の福利厚生として作られることが多く、純粋な収益事業とは性格が違います。

経営者に資格は必要なのか

保育園の経営者本人に、保育士資格や幼稚園教諭免許は必要ありません。

必要なのは、現場に基準どおりの有資格保育士を配置すること。だから資格を持たない異業種の経営者でも参入できます。

経営者に資格は不要。ただし「資格がない=保育を分かっていない」状態で現場に丸投げすると、事故やクレームの判断を誤ります。最低限の保育知識は経営者自身も持つべきです。

保育園経営を始めるための条件と手続き

保育園を始めるには、「事業者としての基準」と「施設の設置基準」の両方を満たし、自治体への申請・届出を経る必要があります。

保育園経営を始めるための条件と手続き

私が小規模保育所を開いたときも、いちばん時間を取られたのがこの基準クリアと書類でした。物件を借りる前に基準を確認しないと、契約後に「この物件では認可が下りない」と判明して詰みます。

事業者の基準と設置基準を満たす

設置基準とは、保育室の広さ・保育士の配置人数・採光や避難経路など、子どもの安全を守るための最低ラインのことです。

認可の場合、保育士の配置は子どもの年齢で決まります。たとえば0歳児はおおむね子ども3人に保育士1人、というように年齢が低いほど手厚い配置が求められます。

基準は児童福祉施設の設備運営基準で定められており、自治体ごとに上乗せ条例がある点に注意が必要です。

開業に必要な手続きの流れ

おおまかな流れは「事業計画→法人設立→物件確保→自治体協議→申請→認可・開園」です。

  1. 事業計画と収支計画を作る。
  2. 運営する法人を決める(または設立する)。
  3. 基準を満たす物件を確保する。
  4. 自治体の保育担当課と事前協議する。
  5. 認可申請または認可外の届出を行う。
  6. 保育士を採用し、開園準備・検査を受ける。

認可は申請から開園まで1年以上かかることも珍しくありません。逆に小規模な認可外や企業主導型なら、もっと短期間で開園できます。

法人形態の選び方(株式会社・NPO・社会福祉法人の比較)

どの法人で運営するかで、設立の手間・補助金の対象・社会的信用が変わります。

法人形態の比較(保育園運営の観点)
法人形態設立のしやすさ特徴
株式会社しやすい小規模・企業主導型で使いやすい。利益配当が可能
NPO法人中程度非営利。地域密着の認可外で選ばれやすい
社会福祉法人難しい認可・公費の信用は高いが設立要件が厳しい

私は小規模だったので株式会社を選びました。スピード重視ならこれ一択でしたが、大規模な認可園を本気でやるなら社会福祉法人も視野に入ります。

コンサルタントを活用する選択肢

経営経験も保育知識もないなら、開業コンサルタントに伴走してもらうのは現実的な一手です。

正直に言うと、私自身は自力でやって遠回りしました。自治体との事前協議の作法や、補助金の書き方は、知っている人に教われば数か月分の時間を買えます。費用はかかりますが、開業の失敗で失う額に比べれば安いと私は考えます。

保育園の経営にかかる費用と資金調達

開業費用は形態と規模で大きく変わり、小規模の認可外なら数百万円台、認可で物件取得を伴うと数千万円規模になります。

保育園の経営にかかる費用と資金調達

ここは創作の数字を出すと危ういので、私が実際に直面した費目ベースで整理します。金額は物件と地域で動くため、必ず自分の見積もりで詰めてください。

開業に必要な初期費用

初期費用の中心は、物件取得費・内装改修費・保育備品・採用費です。

  • 物件取得費(敷金・礼金・保証金)は立地次第で大きく変動する。
  • 内装改修費は、保育室の安全基準を満たすために最もかさみやすい費目。
  • ベビーベッド・玩具・調理設備などの備品費がかかる。
  • 開園前の保育士採用費・研修費を見落とすと資金が足りなくなる。
見落としがちなのが「開園前の人件費」。開園2〜3か月前から保育士を雇い始めるので、収入ゼロのまま給与が出ていきます。ここを資金計画に入れていないと開園前に資金ショートします。

毎月かかる運営資金

運営資金の最大項目は人件費で、私の園では支出の約7割を占めました。

次いで家賃・水道光熱費・給食材料費・保険料が続きます。認可なら委託費が入るまで時間差があるため、開園後も数か月分の運転資金を手元に残しておく必要があります。

補助金・助成金の申請手順と自治体差

保育園は補助金・助成金の制度が手厚い分野で、開業・運営の負担を大きく下げられます。

ただし制度の名称・金額・条件は自治体ごとに違います。同じ「小規模保育」でも、A市とB市で受けられる補助が違うことは普通にあります。

手順の基本は、(1)自治体の保育担当課で対象制度を確認、(2)交付要綱を取り寄せる、(3)事前協議のうえ申請、です。企業主導型は内閣府(実施機関)の整備費・運営費助成が中心になります。

日本政策金融公庫や銀行融資の通し方

自己資金で足りない分は、日本政策金融公庫の融資が最初の選択肢になります。

私が公庫で借りたとき効いたのは、「保育士としての実務15年」という経歴と、根拠のある収支計画でした。公庫は新規開業に理解があり、創業計画書の質で判断されます。

通すコツは、楽観的な満員前提の計画にしないこと。充足率8割でも回る計画を見せると、担当者の見る目が変わります。銀行のプロパー融資は、公庫実績や自治体の認可後に検討すると通りやすくなります。

保育園経営の収入・収支シミュレーションと利益率

【保育園関連】保育園経営って儲かるの?
【保育園関連】保育園経営って儲かるの?

保育園の収入はほぼ「定員×充足率×単価」で決まり、利益が出るかどうかは充足率と人件費のバランスで決まります。

利益率が高いと紹介されることがありますが、それは満員に近い前提の話。定員割れすると一気に赤字に振れる、ハイリスク・ミドルリターンの構造だと私は理解しています。

経営者の収入・年収の目安

経営者の年収は、園の規模・充足率・複数園展開の有無で大きく差が出ます。

正直、1園だけの小規模では「保育士時代より少し上」くらいに着地することもあります。役員報酬を高く取れるのは、複数園に広げて運営が安定してから。最初から高収入を期待するとがっかりします。

収支モデルと損益分岐点の考え方

損益分岐点は、固定費(人件費・家賃)を、子ども1人あたりの粗利で割って求めます。

損益分岐点の考え方(モデルの一例)
金額は地域・形態で変わるため、自園の数値で計算してください。
項目考え方
固定費人件費+家賃+水道光熱費など毎月必ず出る費用
1人あたり粗利園児1人の月収入−1人増えるごとの変動費
損益分岐の在籍数固定費 ÷ 1人あたり粗利

私はこの「あと何人で黒字か」を毎月把握していました。数字で線引きしておくと、募集を強化すべき月が一目で分かります。

キャッシュフローと利益率の見方

認可の委託費は入金が後ろにずれるため、帳簿が黒字でも現金が足りなくなることがあります。

保育園経営で潰れる直接の原因は、赤字より「現金切れ」のほうが多い。利益率の前に、手元現金が何か月もつかを必ず確認してください。

保育園経営のメリット・デメリットとリスク

保育園経営は社会貢献性と公費の安定収入が魅力ですが、定員割れと保育事故という二大リスクを抱える事業です。

保育園経営のメリット・デメリットとリスク

両論を均等に並べるつもりはありません。私の本音では、リスク管理を甘く見た人ほど早く辞めていきます。

社会貢献や少ない初期投資などのメリット

最大のメリットは、子どもと地域に直接役立てること、そして認可なら公費収入で景気に左右されにくいことです。

小規模や認可外から始めれば、飲食店の開業より初期投資を抑えられるケースもあります。私が小規模を選んだのも、リスクを小さく試したかったからです。

定員割れ・少子化などのデメリット

最大のデメリットは、少子化による定員割れで収入が直撃を受けることです。

収入が「在籍数」でほぼ決まる以上、近所に新しい園ができただけで打撃を受けます。立地選定と需要調査を軽視すると、ここで失敗します。

保育事故・クレーム対応とリスクマネジメント

保育事故は、経営を一発で終わらせかねない最大のリスクです。

うつ伏せ寝による事故、誤嚥、プール、散歩中の交通——どれも現場で起こり得ます。賠償責任保険への加入と、ヒヤリハットの記録・共有は必須です。

保護者対応も同じくらい重要。小さな連絡漏れがクレームに育ち、口コミで募集に響きます。私は「謝るべき時はすぐ謝る、隠さない」を徹底していました。

失敗・廃業に至るパターンと回避策

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田中 麻衣

小規模保育所 元経営者・現コンサルタント ・ 保育士資格・幼稚園教諭一種免許取得

元認可保育園の主任保育士として15年間勤務した後、自身で小規模保育所を開業した経験を持つ。実際の認可申請・資金調達・物件選びで直面したリアルな壁を一次情報として届けることを大切にしている。

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